クジラやイルカが眠る吹上浜

吹上浜には多くのクジラやイルカが来遊

「くじらの眠る丘」に展示されたくじらの骨格標本(写真提供「南薩日乗」)
*「くじらの眠る丘」に展示されたくじらの骨格標本(写真提供「南薩日乗」)

吹上浜沿岸には、クジラやイルカがたびたび打ち上げられます。非常に勾配の小さな遠浅の海であるため、潮に取り残されてしまうのかもしれませんし、地磁気の影響があるとも言われます。

最近では、2017年3月に6頭のマッコウクジラが「砂の祭典」会場近くの万之瀬川河口付近の砂浜に打ち上げられ、多くの見物客が訪れたというニュースを見た方も多いでしょう。

2002年1月には、吹上浜南端の大浦町に14頭もの巨大なマッコウクジラが集団座礁するということもありました。座礁当時はほとんどのクジラが生きていたため、大しけの海を前に決死の救出作業が行われましたが、救出できたのは1頭のみで、残念ながら13頭は死亡しました。

クジラが死亡した後も、20〜40トンもの巨体を動かすこともままならず、腐敗が進んで処理に苦労し、やっとのことでコンクリート塊をつけてクジラを海に沈めるという世界でも類のない作業を完了したのは、座礁から11日後のことでした。

死亡した13頭のうちの1頭は砂浜に埋められ、約10年後に掘り出して骨格標本が作製されました。大浦の物産館「大浦ふるさとくじら館」に併設する「くじらの眠る丘」にはこの骨格標本が展示されている他、死亡した13頭を悼むモニュメントが設置されています。

座礁したくじらを救出しようと奮闘する人々(2002年1月)
*座礁したくじらを救出しようと奮闘する人々(2002年1月)

なお南薩沖は鹿児島県内でも多くのクジラ類が来遊する海域として知られ、明治期には三陸沖、土佐周辺と並んで日本の三大捕鯨場であったと言われています。笠沙の赤生木(あこうぎ)には「クジラキィ(クジラ切り)」と呼ばれるクジラの解体専門の集団もいたそうです。

笠沙恵比寿の博物館では、クジラキィが使っていた鯨切り包丁や当時の捕鯨の様子が展示されています。

くじらの眠る丘

南さつま市大浦町29451番地
1階部分はいつでも自由に観覧できます。
休館日・入館料:なし

大浦ふるさとくじら館

南さつま市大浦町29423
TEL:0993-62-2120
営業時間:8:30~17:30
定休日:年末年始